今回の臨床症例は右足関節の背屈困難、筋出力低下、感覚鈍麻の例を紹介します。
年齢:40代
性別:女性
主訴:右足関節の背屈困難
主観的情報:一ヶ月前朝起きたら突然発症、 階段の昇りができない、下腿屈筋側の感覚がない、足関節の背屈ができない
客観的情報:浅腓骨神経患側肥大(エコー観察)、筋力テスト:母趾背屈異常、足関節背屈異常、膝関節屈曲正常、足関節底屈正常
腰部レントゲン異常なし、MRIはまだ検査していない、近隣の総合病院にて神経障害かもしれないと言われた
評価:神経障害+MPS
施術方法:鍼によるエコーガイド下リリース
施術部位:総腓骨神経周り、腓骨筋、前脛骨筋、ハムスト
施術計画:3回治療してみてまったく変化がなければ精密検査
施術経過
1回目:エコーガイド下にて総腓骨神経とその周囲筋を刺鍼。
2回目:全く変化なし。前回同様に総腓骨神経周り、脛骨神経、前脛骨筋、腓骨筋に刺鍼。
3回目:変化なしだが、少し足が軽くなってきたような気がする。
4回目:動きが改善してきた。背屈可動域向上。足も軽い。
5回目:良好。背屈動作正常。感覚鈍麻だけ残るが卒業。
施術結果
年末年始を挟んだので5回目の治療までで約一ヶ月かかりました。
3回目の治療から改善が見られ始め、
5回目の時点では背屈の左右差がまったく認められないほどに回復されました。
感覚鈍麻は少し残りましたが、大変満足されて卒業しました。
筋出力低下や感覚異常は難しい症状ですが、
発症してからできるだけ早く施術することで回復する可能性もあります。
エコーを用いることで神経周りや周辺の組織へ正確にアプローチすることが可能になりましたので、
今後も症例を重ね、鍼灸適応・不適応の見極めをした上で
難しい症状でも改善率も向上させていければと思います。